『SCOOP!』(2016)

大根仁監督の映画『SCOOP!』を観た。

おもしろい!本当の娯楽映画だ。

昔観た、テレビでやってると親に隠れてこっそり観てたピカレスク映画の雰囲気を想い出す。なんていうか、そこはかとない”悪”な感じ。

これはハリウッド映画の悪モノだと、僕の住む世界とかけはなれていてある種の夢物語でリアリティがないんだけど、この映画の静(=福山雅治さん)もチャラ源(リリー・フランキーさん)も、なんかこんな人、僕の周りにもいる。いや、正確に言えばいた。むかしは、テレビの現場にもなんか、悪とまではいかない、”いかがわしい”人がたくさんいたのだ。この人どうやって食ってってるんだろう?いつ寝てんだろうな?みたいな人。

でもそんな人たちが、産み出していったのが、”娯楽”なのだ。


大根仁監督とは2005年に一度だけテレビの特番仕事をご一緒した。初めてお会いした時の僕の印象は、そんな娯楽を作るいかがわしさを持っている人。打ち合わせ中でも、東京の美味しいお店の話をよくした記憶がある(笑)。

で、映画としてでなく、映画の中の、大根監督と同い歳の福山さん演じる”都城静”のことを考える。

二人が46歳の時、撮影してたから、静は46歳なのだ。要するに僕の今の年齢。

大手出版社を辞め、フリーで働くスクープ専門カメラマン。いつかはキャパのような戦場カメラマンになりたいとカメラを仕事にしたけれど、いつしか芸能ゴシップが専業。多分金もあまりない(借金あるらしいし)。

周りの人には、「もう若くないんだから」「中年パパラッチ」と揶揄される。知り合いの出世した人からは、気にかけられ、真っ当な(?)撮影仕事も紹介されたりもする。でも彼はそれを選ばない。

なんで、選ばないんだろう?

僕なら選ぶかな?

でもきっと彼は選べないんだと、思う。

「これからどうする?」そんなこと質問されても、実は静本人が一番わからないのだ。


パンフレットで福山さんが語ってる。

「でも腕はそこそこあるので、芸能スキャンダルなら自分の6割程度の力で撮れちゃう。だから、いまのところこれで食ってる。そういう諦め方をした中年なんじゃないかと。僕も中年なんでよくわかるんですけど、1回自分と向き合わなくなると次に向き合おうとする時に倍以上の労力がかかる。歳をとればとるほど、仕事や自分に向き合うことを続けてないと現役感を維持できない諦めのスパイラルにどんどんハマっていっちゃった人なんだろうなって。」

(ちなみに映画のパンフレットには、映画の良し悪しと関係なく、いいパンフレットと悪いパンフレットがありますが、これはいいパンフレット。ぜひ買って読んでみてください。)


若い頃なら、例えば、二階堂ふみさん演じる野火なら、わからないならわからないなりに、人生は自ら切り開くモノなんだと思う。自分が好むと好まざるとに関わらず、努力したらしたなりにコツコツと、別に努力しなくてもなんならスイスイと、人生は自らの意思で切り開けるモノなのだ。

でも、静は、もうそれができなかったんだと思う。

だってある種、なにかしら、人生のやり方がわかってしまったから。そのテクニックを身につけた分、限界も見えてしまってるのだ。


この映画を観ながら、この映画どうやって終わるんだろう?って考えていた。

いや、どうやって静は人生を、大根監督は映画を、終わらすんだろう?って考えていた。

そしたら、終わりが来た。

むしろ「これからどうするんだろう?」ってのの答えは、人生のむこう側からやってきたのだ。

そんな人生の向こう側を考えた46歳だった。


角田陽一郎/Kakuta Yoichiro Official Site

バラエティプロデューサー/Variety Producer 著書『13の未来地図フレームなき時代の羅針盤』 『「好きなことだけやって生きていく」という提案』『最速で身につく世界史』『成功の神はネガティブな狩人に降臨する-バラエティ的企画術』『究極の人間関係分析学カテゴライズド』/映画「げんげ」監督/ 水道橋博士のメルマ旬報連載中/渋谷のラジオ金曜朝10時[渋谷で角田陽一郎と]/MX オトナに!

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