『人を賢くする道具』by D.A.ノーマン

D.A.ノーマン著『人を賢くする道具』おもしろい!かつとても勉強になった。93年に書かれた本なのでインターネットはまだ出てこない。でも人の認知と道具とデザインの関係が明瞭になった。

認知には多くのモードがある。思考は多くの異なった方法によって行われる。

以下の議論に特に関係の深いモードは、「体験的認知」と「内省的認知」の二つである。

体験モードにおいて、われわれは特別な努力なしに効率良く周囲の出来事を知覚したりそれに反応したりできるような状態になる。 

内省モードは比較対象や思考、意思決定のモードである。このモードにより新しいアイデア、新たな行動がもたらされる。

それぞれのモードはどちらも人間の行動には重要なものであるが、全く異なったテクノロジーの支援を必要とするのである。人間の知覚と認知に結びついたこれらのモードの違いに対する充分な理解なしには、テクノロジーに手綱をつけること、つまり製品を人間に適合させることは不可能なのである。p20 


内省すべきときに体験してしまうことー体験モードでは人はよく考えないで反応する。これはものごとが急速に動くときには有効だが、状況が一変した場合は体験モードではその変化にうまく対応できないかもしれない。 

体験すべき時に内省してしまうことーあまり考えすぎるとものごとは通り過ぎてしまう。あらゆる視点、あらゆる可能性を考えたとしよう。一つ一つの選択肢についてメリットと危険性とを考えたとしよう。周囲の意見に左右され、思考の罠にはまり込み、ものごとを決めたり行動したりできなくなる。 

とりわけ今日最も大きな脅威となっているのは、内省的であるべきときに体験してしまうことだと思われる。ここでは楽しみが思考が乗っ取ってしまう。

さらに悪いことには、人が思考が体験モードなのに、自由で建設的な思考や、推論、内省をしたと思い込みやすいのである。 

内省的な思考は現代文明の重要な要素であるーこれによって新しいアイデアが生まれてくる。 p34

角田陽一郎 Kakuta Yoichiro Official Site [DIVERSE]

バラエティプロデューサー/文化資源学研究者(東大D2)/ 著書:小説『AP』『仕事人生あんちょこ辞典』『最速で身につく世界史/日本史』『天才になる方法』『読書をプロデュース』『人生が変わるすごい地理』『出世のススメ』『運の技術』『究極の人間関係分析学カテゴライズド』他/映画「げんげ」監督/水道橋博士のメルマ旬報/週プレ連載中/メルマガDIVERSE

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