「近藤高弘 消滅から再生へ」豊津徳49【Hozu Talk】

東京画廊の山本豊津とバラエティプロデューサーのカクタ教授のアートを巡る知のライブトーク

東京画廊+BTAPは11月22日(金)より、近藤高弘「消滅から再生へ」展を開催致します。

近藤高弘は1958年京都生まれ。人間国宝(染付)の祖父・近藤悠三と父・近藤濶のもとで育ち、卓球で日本代表選手になった異色の経歴を持ちます。25歳から陶芸の道を志し、1994年には京都市芸術新人賞を受賞、2002年には文化庁派遣芸術家在外研修員として、エジンバラ・カレッジ・オブ・アート・マスターコース(イギリス)を修了しました。近年の主な展覧会に2023-2024年にブルックリン美術館で開催された祖父・近藤悠三、父・近藤濶、伯父・近藤豊との4人展『 Porcelains in the Mist: The Kondō Family of Ceramicists』があります。

伝統的な染付作品から制作を開始した近藤は、その後、金属や鋳造ガラスなど新しいメディウムを取り入れ、独自の造形表現を確立しました。1993年、陶にプラチナ、金、銀、ガラスの混合物を粒状に結晶化させる「銀滴彩」を生み出します。磁器に繊細な煌めきをもたらし、表面の雫にさまざまな表情を与えるこの技法は、土を媒介として、火から水を生むことをコンセプトとしています。水をテーマに制作した「Reduction」、「Wave」シリーズは、ボストン美術館、ギメ美術館をはじめ著名な美術館に数多く収蔵されています。また今年6月には、京都市左京区の花脊にある旧八桝小学校の跡地に登り窯「念々洞・鹿龍窯(ろくりゅうがま)」を創築しました。

本展は会期を二つに分け、近藤がライフワークとする白磁を展示いたします。前期は、作曲家、故・一柳慧と2018年に行った二人展「消滅」から始まった試みの継続です。形を失って崩れ、「消滅」を予感させる器がなお内包している、再生の契機を探る展示となるでしょう。展覧会後期は白磁を使用したインスタレーションの試みです。つねに消滅へと傾く自然と、作り続け、再生をめざす人間との交流をテーマに据え、工芸と現代美術の境界を問いなおす展覧会となります。

角田陽一郎 Kakuta Yoichiro Official Site [DIVERSE]

バラエティプロデューサー/文化資源学研究者(東大D2)/ 著書:小説『AP』『仕事人生あんちょこ辞典』『最速で身につく世界史/日本史』『天才になる方法』『読書をプロデュース』『人生が変わるすごい地理』『出世のススメ』『運の技術』『究極の人間関係分析学カテゴライズド』他/映画「げんげ」監督/水道橋博士のメルマ旬報/週プレ連載中/メルマガDIVERSE

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