想像力

どんな年齢でもどんな立場の人でも悲しいときは悲しい。

例えば上司という立場。
上司は部下に何されても悲しくならないと思ってる部下がいる。
上司はかつて部下だったことがあるけど、上司を経験してから部下になる人はなかなか稀だから、部下には上司の気持ちは想像しにくい。
すると部下の方がむしろ上司を同じ人間として扱わないことが起こる。
上司なんだから我慢しろと。
自分が歳食って立場が上がって来ると経験する孤独感。その事実が悲しい。


どんな年齢でもどんな立場の人でも悲しいときは悲しい。
例えば有名人。
有名人は何されても悲しくならないと思ってる人がいる。
有名人は無名だったことがあるけど、有名を経験してから無名になる人はなかなか稀だから、普通は有名人の気持ちは想像しにくい。
するとむしろ有名人を同じ人間として扱わないことが起こる。
有名人なんだから我慢しろと。
その職業なんだから責められて当然だと。

その言論がどんなに正しくても理にかなっていても、どんなに立派な立場の人でも、人を毒々しい言葉で糾弾する人には、僕はどうしても嫌悪感を感じる。
それは相手の悲しみを理解できないほどの想像力が欠如した人間だから。
その想像力が欠如した言葉を使うことには理がないことに気づかない幼稚性。


つまり、想像力なんだ。
やさしさも人間力も知性も、結局それは想像力なんだ。
想像力がなければ、立場があってもお金持ってても、偏差値高くても、何も意味がない。何者でもない。

自分とカテゴリーが違う人は自分と同じ悲しみを持たないと、人は時に錯覚する。
そのカテゴリーとは立場であり、職種であり、人種であり、性別であり、年齢など。
それで人を区分けし選別し排除する。

自分が感じる悲しみは、少なくとも他者も感じてるんだと、それを一生懸命想像すること。
それは決して忘れてはいけないことだと思う。

角田陽一郎 Kakuta Yoichiro Official Site [DIVERSE]

バラエティプロデューサー/文化資源学研究者(東大D2)/ 著書:小説『AP』『仕事人生あんちょこ辞典』『最速で身につく世界史/日本史』『天才になる方法』『読書をプロデュース』『人生が変わるすごい地理』『出世のススメ』『運の技術』『究極の人間関係分析学カテゴライズド』他/映画「げんげ」監督/水道橋博士のメルマ旬報/週プレ連載中/メルマガDIVERSE

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