『白鯨』byメルヴィル

多分ほとんどの人は未読で名前だけ有名なメルヴィル『白鯨』。なんとなく白鯨とエイハブ船長の闘いの少年ジャンプ的冒険譚とかディズニー童話的な作品だと思われがちだけど、実際は岩波文庫3巻にも及ぶかなり難解な哲学的な思想文学なのだ…と知りむしろ興味が出て読み始め、上巻読了。いやーこれは!死ぬ程おもしろい!!!
なにせ読んでも読んでも捕鯨船は出航しないし、船長は出てこないし、延々と鯨の生態と登場人物紹介の話が続くし、日本黒船来航直前の19世紀半ばの世界の経済や習俗や宗教の話が続く…でも、むしろその非少年ジャンプ的な展開しないストーリーと古風な語り口も含めて、なんていうか読んでてめちゃくちゃ斬新なのだ。
ここからはあくまで私論だけど所謂“ストーリーをまわす”ことにor登場人物のキャラクター造形に(特に昨今の作品は)重きを置きすぎてる気がする。そちらの方が漫画的映画的に画が想像/創造しやすいから、ひっぱりになるから、キャッチャーになるから、市場に受け入れ易いから、でもむしろなんか退屈。

角田陽一郎 Kakuta Yoichiro Official Site [DIVERSE]

バラエティプロデューサー/文化資源学研究者(東大D2)/ 著書:小説『AP』『仕事人生あんちょこ辞典』『最速で身につく世界史/日本史』『天才になる方法』『読書をプロデュース』『人生が変わるすごい地理』『出世のススメ』『運の技術』『究極の人間関係分析学カテゴライズド』他/映画「げんげ」監督/水道橋博士のメルマ旬報/週プレ連載中/メルマガDIVERSE

0コメント

  • 1000 / 1000