わたしはひたすら自分のために私の夢想をしるすのだ。わたしがもっと年をとり、この世を去る時が近づいて、いまそう願っているように、そのときも現在と同じ心境にあるならば、これを読むことは書くときに味わった楽しさを思い起こさせ、過ぎ去った時代を胸によみがえらせ、いわばわたくしの存在を二重にしてくれるだろう。p20
神は正しい。神はわたしが苦しみ悩むことを欲している。しかし罪なき者であることを知っている。これが私の確信の拠りどころ。わたしの心情と理性は、この確信に欺かれることはないと叫んでいる。だから人間や運命のなすがままにまかせることにしよう。不平を言わずに耐え忍ぶことを学ぼう。すべては結局、秩序を回復するであろうし、遅かれ早かれわたしの順番もまわってくる。p34
それはなるほど禍いを断ち切ったことにはなるが、禍根を残したことになる。なぜなら、その根はわたしたちに無縁の存在のうちにあるのではなく、わたしたち自身のうちにあるからで、そこから禍いの根をすっかり引き抜いてしまうように努力しなければならない。わたしは自己にたちかえるようになるとすぐに、それがはっきりとわかった。私の身に起こることにどんな説明をあたえようと試みても、理性はその不条理を示すだけなので、わたしはこうさとった。すべてそうしたことの原因、手段、方法は、わたしには知ることもできず、説明もできないのだから、私にとっては無意味なものとなるべきだ、と。わたしの運命にとまなうさまざまな事情はすべて、たんなる宿命のなせる業とみなすべきで、そこには目的も意図も道徳的原因も考えるべきではない。理屈を言ったり反抗したりしてもむだなのだから、そんなことをしないで、私は運命に服従しなければならない。p134
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