『孤独な散歩者の夢想』byルソー

わたしはひたすら自分のために私の夢想をしるすのだ。わたしがもっと年をとり、この世を去る時が近づいて、いまそう願っているように、そのときも現在と同じ心境にあるならば、これを読むことは書くときに味わった楽しさを思い起こさせ、過ぎ去った時代を胸によみがえらせ、いわばわたくしの存在を二重にしてくれるだろう。p20 


 神は正しい。神はわたしが苦しみ悩むことを欲している。しかし罪なき者であることを知っている。これが私の確信の拠りどころ。わたしの心情と理性は、この確信に欺かれることはないと叫んでいる。だから人間や運命のなすがままにまかせることにしよう。不平を言わずに耐え忍ぶことを学ぼう。すべては結局、秩序を回復するであろうし、遅かれ早かれわたしの順番もまわってくる。p34 


 それはなるほど禍いを断ち切ったことにはなるが、禍根を残したことになる。なぜなら、その根はわたしたちに無縁の存在のうちにあるのではなく、わたしたち自身のうちにあるからで、そこから禍いの根をすっかり引き抜いてしまうように努力しなければならない。わたしは自己にたちかえるようになるとすぐに、それがはっきりとわかった。私の身に起こることにどんな説明をあたえようと試みても、理性はその不条理を示すだけなので、わたしはこうさとった。すべてそうしたことの原因、手段、方法は、わたしには知ることもできず、説明もできないのだから、私にとっては無意味なものとなるべきだ、と。わたしの運命にとまなうさまざまな事情はすべて、たんなる宿命のなせる業とみなすべきで、そこには目的も意図も道徳的原因も考えるべきではない。理屈を言ったり反抗したりしてもむだなのだから、そんなことをしないで、私は運命に服従しなければならない。p134

角田陽一郎 Kakuta Yoichiro Official Site [DIVERSE]

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バラエティプロデューサー/文化資源学研究者(東大D2)/ 著書:小説『AP』『仕事人生あんちょこ辞典』『最速で身につく世界史/日本史』『天才になる方法』『読書をプロデュース』『人生が変わるすごい地理』『出世のススメ』『運の技術』『究極の人間関係分析学カテゴライズド』他/映画「げんげ」監督/水道橋博士のメルマ旬報/週プレ連載中/メルマガDIVERSE

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