最近篭ることが多いので本棚見ていて、ふといいタイトルだなと気になって手に取った本は中公新書『宇宙をうたう』
なんと最近ご一緒した人類進化学者海部陽介さんのお父様海部宣男さんの本だった。20年前に買って読まずに積読状態だった。
本は読まれるべき時に出会えるものなのだ。
そして、読了。とても素晴らしくとても勉強になり、まさに真摯な天文学者が言葉を慈しんで描いた、とても実直で素敵な本だった。
自然と人間、そして神がいわば一体としての世界を構成していた万葉の昔はおくとして、日本の詩歌では自然は長らく、「鑑賞」の対象だった。自然は与えられたものであり、それ以上追求しない。あくまでその美しさ、うつろい、そして時には過酷さがうたわれてきた。p133
宇宙において、人間は特殊な存在ではない。私たちも、身のまわりの自然も宇宙の現象も、同質の物質・同一の法則を共有し、そうした物質作用の積み重ねの結果として存在している。私たちの身体の物質はまた、絶えずいれ替わり、風と吹き水と流れて、地表を循環する。その物質は、かつては宇宙空間を漂い、星となり、超新星爆発を経て再び暗黒の星雲とまじりあってきた物質、そのものである。同じ現象が宇宙のすみずみで同じように起こり、また現在も起きている。そして私たちは、百五十億年の膨張宇宙と四十億年の地球生命の歴史の結果として、いま存在している。このようにして人間と宇宙は文字どおりのひとつながりであり、「一人一人の中に宇宙はある」のである。p134
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