注目したいのが、アイヌの川にかんする観念です。かれらにとって川は、山に発して海へむかうものではありません。反対に「川は海から陸へ上って、村のそばを通って、山の奥へ入りこんで行く生物」なのです。p165
縄文の世界観・他界観とは、農耕がおこなわれる平地をふくまない、海と山からなる二元的な世界観であり、その海と山を往還する神の観念、またその観念とむすびついた海辺の洞窟と山頂をつなぐ他界観である、p192
海民やアイヌのあいだでおこなわれていた贈与や分配が、本来はタマシイの贈与や分配を意味するものだった p230
神を抜きにして、あるいは生活者の思想から遊離した神によっては、平等はうまれない p231
アイヌと海民は贈与に強く執着しました
人は唯一、自分の存在を何かから与えられたものとして感じることのできる動物である。それが親であれ、神であれ、自然であれ、人は生を与えれくれた者への負い目を抱く。人間は、現世に生まれた瞬間から負い目として存在する。この負い目を返さなければならないという感情は、人間の実存そのものに由来するものであり、贈与のみがこのやっかいな義務感情を解消できる。いいかえれば、贈与こそが人間を肯定する唯一の手段であり、不断の贈与が生の肯定を生みだす、p242
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