プロデューサーのジレンマ

人との距離感ってのは難しいな。
周りの近しい人とも、あまり近くない人とも同様に難しい。
ベタベタするのは苦手だし、つっけんどんにするのも嫌だし。
ベタベタされるのもこそばゆいし、つっけんどんにされるのも寂しいし。
というかこれ幼稚園ぐらいから会社からネットでもずーっと悩んでるな自分。
そもそも人付き合いが子供の頃から苦手なのだ。なのにプロデューサーという仕事をやっている。(それには理由があるんだけど、それはまた改めて)

子供の頃から歳食っても悩みの大部分は人事なんだろうな。
人事の悩みってお金とか時間とかアイデアとかテクニックで解決しない。
というか表層的には解決したように見えるんだけど、解決してなかったりするから大変。
いろんな人がいるから人生はおもしろいってのは真実だけど、同様に大変ってのも事実。

おもしろいことやるには1人ではできない。
1人でやれるおもしろいことって何だろう?
テレビは少なくとも1人では作れないし。
1人でできる作業ってのは確かにあるけど、それを誰かに伝えるってことは結局誰かが介在する。
誰かに伝えなきゃいいんだけど、それじゃつまらない自分がいる。めんどくさい自分。

とかなんとか思春期の悩みみたいなこと呟いてるけど、人は何歳になってもどんな立場になっても悩みはそんなに変わらんってことだ。

こんなんでよくプロデューサーやってるな。
多分そんな悩みを棚上げして長年やってきたんだけど、それに無理が来てるんだ最近。
無理を仕事にすることが無理になってきてる。

若い頃とちょっとでも変わったことは人に嫉妬しなくなったこと。
昔は他人の才能にいちいち嫉妬してた。
それって数年前に坂口恭平さんと西野亮廣さんに出会ったことが大きい。
自分より歳下の絶対的な天才に出会ったことで、嫉妬するより応援したくなった。
つまり自分の能力を相対的に判断しなくなった。
自分の能力を相対的に判断しなくなったので、勝ち負けという判断がいつのまにかすーっと消えてしまった。
自分が生きていけるだけの等身大の状態でよくなってしまったのだ。(それで会社を辞めるわけなんだけど)。 

それがいいことかというと、プロデューサーという職分にとってはそうも言ってられない。
つまり勝ち負けにこだわる組織とか人とは仕事がしづらくなるからだ。
プロデュース仕事というのは、ほとんどは勝ち負けにこだわる組織や人からやってくるから。
うーん。
他人を気にしなくなった故の、他人を気にしなくちゃいけないというプロデューサーのジレンマ。

角田陽一郎 Kakuta Yoichiro Official Site [DIVERSE]

バラエティプロデューサー/文化資源学研究者(東大D2)/ 著書:小説『AP』『仕事人生あんちょこ辞典』『最速で身につく世界史/日本史』『天才になる方法』『読書をプロデュース』『人生が変わるすごい地理』『出世のススメ』『運の技術』『究極の人間関係分析学カテゴライズド』他/映画「げんげ」監督/水道橋博士のメルマ旬報/週プレ連載中/メルマガDIVERSE

0コメント

  • 1000 / 1000