八幡和郎さんの『日本と世界がわかる最強の日本史』読了。
いろんなイメージ(先入観?)からくる思想的な偏りは、実はほとんどなかった。
この歴史本における“思想的なイメージの先入観”、僕も歴史の本書いているので、なかなか難しいところなのだけど。
で、そういう先入観をあえてつけたほうが”売れる”から、出版社がそういう販売戦略をつけるのは、わかった上で。
それで何か大事なことが見えなくなってしまうのが怖いな、と思いました。
むしろ本書の中で「なるほどな!」って勉強になった点が結構ありました。
奈良時代の後半から平安時代の前半が、制度を現実に合わせる改革をして破綻しないように努力していた時代で、後半から鎌倉時代は、究極のローコスト経営の時代でした。
ところが、ガードマンのほうが雇い主より強くなって本業まで乗っ取られたのが、源平合戦以降の武士の世の中です。いつの世も目先のコスト重視で無原則な民間委託をするといつか統治機構は壊れるのです。《第四章 荘園制・摂関制・武士の登場 p89》
江戸時代の大名は現代でいえば知事ですが、鎌倉・室町時代の守護は違うのだといえば驚く人も多いでしょう。しかし、この点が中世と近世の違いを理解するうえでキーポイントなのです。《第五章 幕府・元寇・禅宗文化 p124》
三権分立、二院制、地方分権といった多元的民主主義では、互いに与えられた権限をフルに発揮しては麻痺してしまうので、自制が不可欠なのです。《第八章 占領・高度成長・バブル崩壊 p312》
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